◎艦名の変遷
almirante villar
1914年10月23日、ロシア海軍駆逐艦、ガブリール級、Капитан Кингсберген Kapitan Kingsbergen カピタン・キングスベルゲンとして起工。
建造中、ケレンスキー革命により、Капитан 1 ранга Миклухо-Маклай Kapitan pervovo ranga Miklukho-Maklay カピタン・ペルヴォヴォ・ランガ・ミクルホ=マクライと改名、1917年12月12日竣工。
ボルシェヴィキ革命により赤軍に所属、Спартак Spartak スパルタークと改名。
ロシア内戦時、イギリス海軍に捕獲され、第一次世界大戦後、エストニア海軍に編入、Vambola ヴァンボーラと改名。
1934年、エストニアよりペルーに売却され、Almirante Villar アルミランテ・ビヤルと改名。
☆実艦解説
この艦は、元はロシア海軍が一次大戦前より、ドイツのゲルマニア社、ブローム・ウント・フォス社の技術供与を受けて整備した大型駆逐艦、ノヴィーク級のグループである、ガブリール級の一隻で、サンクト・ペテルスブルグのプティロフ造船所で建造されました。
折しもロシアは革命の最中にあり、ロシア海軍、ケレンスキー政権、赤軍と所属を変える度に名前を変えました。
その後、第一次世界大戦末期に、イギリス海軍に捕獲され、戦後エストニア海軍駆逐艦ヴァンボーラとして再就役しました。しかし、エストニアには駆逐艦の維持費用が重く、1934年には売りに出されることとなりました。
当初、ポーランドなどが購入を検討しましたが、最終的には、対コロンビア戦備として駆逐艦を必要としていたペルー海軍がこれを購入し、駆逐艦アルミランテ・ビヤルとして南米の地で第二の艦生を送ることとなったのです。
本艦は、ペルーの第二次世界大戦参戦後、爆雷装備などを施して連合国の一員として船団護衛に従事しましたが、戦闘を行う機会は一回もありませんでした。
そして、二次大戦後まで就役を続け、1954年、アメリカから供与されたフレッチャー級駆逐艦に名前を譲って解体され、数奇な艦歴を綴じました。
作例は、1934年、ペルー海軍駆逐艦 アルミランテ・ビヤルとして就役時の状態で作成しました。
◎アルミランテ・ビヤル 要目
通常排水量1,540t 全長:98.0m 水線幅:96.0m 最大幅:9.3m 吃水3.0m
機関:ヴルカーン・ソーニクロフト式重油専焼缶4基 カーチス・AEG式直結タービン2基 2軸
燃料 重油767t 機関出力:30,000hp 速力:計画35.0ノット(おそらくペルー購入時は27ノット程度)
航続距離:1,250海里/12ノット
乗員数:167名
兵装:10.2cm60口径単装砲4基 76mm単装高角砲1基 18インチ3連装魚雷発射管3基、機関銃2基
☆制作
作例は、コンブリックから発売されている同じガブリール級駆逐艦の一隻、バラリアン・クジュビエフのキットを改造しました。
撤去されていた後檣を復活し、艦載艇前部、後檣後に設置されている37機関砲座を撤去し、ガブリール級原型に近い形としました。
マストは0.3mm真鍮線に置き換えしました。また、ボートダヴィッドはキット付属のものは長すぎ、艦載艇は足りない上に成形不良で使えない状態だったので、WLの日本海軍小型艦艇装備セットの小型ダヴィッドと艦載艇に交換しています。
艦尾軍艦旗は、ペルー軍艦旗の画像を縮小して紙に印刷したものを使用しています。
☆塗装
塗装に使用した塗料は以下のとおりです。
・船体色 ピットロード WW-U米海軍ライトグレー 船体色
・喫水線色 タイヤブラック(137)
・煙突ファンネルキャップ セミグロスブラック(92)
・甲板色 ピットロード WW-U米海軍グレー 甲板色
・帆布部 セールカラー(45)
・艦載艇内部 タン(44)
かっこ内はミスターカラーのナンバーです。